忘れ得ぬ人々(1) 長堀耕衛講師の思い出
喜多 和子
武蔵野の森を思わせる木立の中に現在の教化部会館の落慶法堂式が盛大に、厳かに感動の内に行われました。新緑が美しい平成四年四月二十九日のことです。
この教化部の建設に深田保教化部長と共に陣頭指揮をとってくださったのが、当時の講師会長・長堀耕衛先生です。この長堀先生の全身全霊でのご尽力が無ければ教化部会館は建っていなかったのではと思う程です。
私が平成元年、白鳩会教区連合会長になって半年ぐらいの頃、道場建設の事が持ち上がりました。本太の旧道場の老朽化や手狭になった事。駐車場のスペースが無いとの理由でした。早速道場建設委員会を立ち上げ、土地探し、他教区の見学をしたり、業者の選定、設計など数えきれない程の会議を重ね、最後に五者と業者との会議の席上、各々の長から施工業者に望む事と云われ、私は「信徒の皆様の尊い浄財で建てられますので、心してお願いします」と、長堀先生は「神様のお仕事です、よろしく」とキッパリと云われたのを今も鮮明に覚えています。又設計の段階で、当初二階の白鳩会(現教化部長室)、講師会(現会議室)、相愛会のスペースは同じ予定でしたが、私は長堀先生に「白鳩会は大所帯だから柱一本分白鳩会に譲ってください」とお願い、「ああ いいよ」と快く承諾してくださいました。十五年後、自分が講師会長になった時、「狭いなあ」と思う事が何回もあり、その度に、若さゆえとはいい、よくもあつかましく云ったものだと反省すると共に、一度も狭いと云われなかった長堀先生の深い愛にお詫びと感謝の気持ちでいっぱいです。そして二億円近い募金活動がスタートしました。各地区の目標額の設定など会議の度に力強い発言をされ、いつも先生の言葉に励まされ、「神さまの運動、神さまの運動」と唱えている私でした。真理の説法がされる道場建設は徳積みの〝千載一遇〟のチャンス、愛を実践する事の素晴らしさなどをテーマに先生とペアで全総連を回り、皆様の真心に体験談に感動し、涙して帰りました。皆様の深い信仰心のお陰で、目標金額は集まり無事落慶の運びとなりました。
翌年の秋季大祭で本部より道場建設助成金を顕斎殿の神殿で教区代表として受けられた、なんとも清々しいタキシード姿の先生が今も忘れられません。