202505月号 本物は誰でも味わえる

 5月になり新緑が美しくなりますと、どこか綺麗な有名な景色を見に行きたくなりますが、自宅の近くにある身近な自然や庭に十分な美しさが潜んでいますので、それを見つけてみましょう。自然の美しさは、特別な所に行かなくても身近な所でも探せば十分感じることができます。今の時季にしかない美しさを探してみましょう。俳句や絵などを作るにも今の中に何を感じたか、その感じたものを表現すると出てきます。
 以前、こんなエピソードを書道を指導された生教会のN先生が話して下さいました。
 自分の勤務学校(支援学校)で中・高生の生徒を社会科見学に上野公園に連れて行ったことがありました。最初に国立博物館に入りました。先生方は、ここではおもしろいものがないので、すぐに飽きて出てくるだろうと予測してプログラムを立てていました。博物館ではちょうど日本の古典の書道展をやっていました。先生方は書はよく分からない人が多く、一通り見て出ようとすると生徒達は名筆のところにくると、そこから離れようとしませんでした。びっくりしてN先生が「お前たちこれ分かるのか」と聞くと後すざりして首を横に振りました。先生方でも書の良さを充分わかる人はいないのに支援学校の生徒達が名筆の良さを直感力で分かるのだと感心しました。
 次に隣の科学博物館に行きました。恐竜の骨などがありますので、子供たちも喜ぶだろうと思い時間を沢山とってありましたが、最初は子供たちも興味を持って色々と説明のボタンを押したりしましたが、すぐに飽きてしまい出てきました。そのとき、N先生は本物が感じられるのは頭の善し悪しではない、知識が豊富だから感じられるのではない、本物はどんな人でも感じることができると実感し、それが教育の原点ともなりました。
5月には埼玉教区の行事で、上野公園を散策して自然の美しさを感じようということになりました。参加者を3グループに分け、5月11日には主に壮年層のグループで動物園コース、上野公園の散策グループが行き、5月11日は西洋美術館が無料の日なのでかえって混むだろうと、31日に西洋美術館グループは常設展を見ることになりました。どこのグループに入るのかは誰でも自由ですが、その中で感じたものを俳句にしようという計画を立てました。私たちも知識で学ぶのではなく、自然でも芸術品でも自分の内在価値観で何かを感じてまいりましょう。それが自分の人格に深みを増します。
 常に名筆や名画を鑑賞し、本物を見る目を養いましょう。

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