202310月号 反対のものの観方の探究Ⅱ

 現象を見るのに、〝マイナスはダメである、悪である〟と云う考え方になりがちですが、唯神実相の〝神以外のものは実在しない、すべて善である〟という観方になりますと現象世界は実相を現し出す芸術作品とみる事が出来ます。
 『生命の實相』14巻p78には
『優れたる芸術家は、時間空間のスクリーンに投影されたる形象だけを捉えるものではない。時間空間のスクリーンに投影されたる影をそのまま実在するものとして、精確にその寸法を測定し重量を秤量し、その間の法則をとらえるのは科学者の仕事である。芸術家は影をそのまま実在として観ないで、影の奥にある生命を、実相生命を、把むのであります。だから、芸術家は凹凸さまざまの不細工な顔の奥にもその実相生命の美を捉えて表現する。ロダンの作った「鼻欠け像」は形そのものとしては美はないけれども、実相生命が捉えてあるから、そこにわれわれは生命の美を感得するのであります。言い換えると、ロダンは、形の上では鼻欠けを塑作していても、鼻の欠けていない実相を塑作していたということができるのであります。さらに言い換えると、「欠けている鼻はない」ということを現象の上では「欠けている鼻」を塑造しながら表わそうとするのが優れたる芸術家なのであります。ここでは芸術家は実際は宗教家であるといえるでしょう』と書かれています。
どのようなマイナスに観えているものでも神様は「この中に素晴らしい神の生命があるんだぞ」と指し示しています。蝶の前は毛虫でありサナギです。トンボの幼虫はヤゴです。こんな姿はいやだと思ってもこれがきれいな蝶となる姿なんだよ、トンボの姿なんだよと示されています。             また自分の最も不得意とするものの中にも、苦手な環境の中にこそ、その人の魂が生長する大切な種子が、使命となるものが潜んでいます。 現象のマイナスに引っ掛かることなく、その中にこそ神様の素晴らしい種子が孕んでいるんだという絶対善の観方から観て神様のなさること間違いなしの信念を深めてまいりましょう。

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