202312月号 歓喜の歌

 十二月二十四日は生長の家総裁・谷口雅宣先生の御誕生日です。心からお祝い申し上げ、
いつまでもお健やかにご指導下さいますようお祈り致します。
 十二月になりますと日本ではよく各地の音楽会やテレビ、ラジオ等でベートーベンの第九交響曲を演奏します。第四楽章は有名な「歓喜の歌」です。ドイツのシラーの「歓喜に寄せて」という詩にベートーベンが感激し、一部を取り入れ交響曲にしたものです。併しそこに到るまでが大変でした。ベートーベンは若い頃から耳が段々聞こえなくなり、作曲が困難になって生きがいが無くなり、自殺まで考えたことがありました。ハイリゲンシュタットで三十一歳の時、遺書を書きます。その中に『神の摂理よ、どうかもう一度喜びに満ちた一日を私に見させてください』と願います。自殺を思いとどめさせたのは芸術に対する使命感でした。若い頃感激したシラーの詩を思い出し是非交響楽にしたいと思いが甦ってきます。それから第七、第八、第九と交響楽の構想を練りますが、第九はなかなか着手できませんでした。一八二二年遺言状を書いてから二十年経った時、転機が訪れます。ロンドンのフィルハーモニック協会から五十ポンドで交響曲作曲の依頼があります。芸術のためと思ってこれを受けます。第九に着手し、完成したのが一八二四年で五三歳の時です。その三年後にベートーベンは亡くなります。
 昭和四〇年に東宝より封切られた映画に「赤ひげ」という山本周五郎原作の映画がありますが、黒澤明監督の「第九」と云われています。この映画を撮るにあたって黒澤監督はクランクインの時、スタッフを集めて、ベートーベンの第九を聴かせ、「この映画は最後にベートーベンの第九の歓喜の歌が自然に聞こえて来るような映画にしたいんだ」と云いました。「赤ひげ」の中身は貧困と不幸のどん底のような話が次から次へと出てきますが、見た後がなんとなく喜びが感じられるような映画です。
 私たちの環境にも色々なことが起こり、中にはいやになってくることがあると思いますが、神様は悪いものは一切創られていないすべてよしの世界ですので、そこに神の歓喜が鳴り響いています。その歓喜の世界に波長を合わせて、今ここにすべての人や事や物の中に創造のよろこびが満ち満ちていることを実感し感謝しましょう。

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