本物を見る ②  教化部長  木場 一廣

 私が本物を見ることを学んだのは生命学園でした。生命学園が、最初に誕生したのは昭和三十六年で、その当時、指導は生長の家の真理を基本とし、礼法、和歌、書道を三本柱として神の子の生命を引き出すと云うのが目的でした。どんな子どもの中にも素晴らしい力があると云うことを書道や和歌を通して表現することです。書道をやるというと指導にすぐに字のうまい人を探したり書家はいないかと専門家を探しますがそれは生命学園の目的と正反対になります。教育は外から付け足して良くするのではなく、最初から素晴らしい力を持った神の子が内在するので、その手本を子どもの中に見つけ出すのが教育の眼目です。
 昭和四十年十一月に生長の家本部に教育局が新設され、学校区に生命学園を一つつくるのが目標になりました。「楽しく、明るく、節度ある生命学園」がスローガンで、対象者は小学四年生以上、中学生部、師範部予科(高校生)、師範部本科(大学生)でした。わたしは故鹿沼景揚先生のすすめで昭和四十二年頃本科生に入園し、昭和四十四年十月に本部に奉職しました。
 昭和五十一年頃に「生命の教育指導者特別研修会」が長崎のまだ総本山が出来る前の道場で大聖師・谷口雅春先生のご指導で行われたとき、先生は引き出す教育、引き出す教育と云うけれども力ずくで引き出すのではなく、私達の引っ掛かっているものを取りさえすればそこに素晴らしい神の子があるのですよとご教示下さいました。
 子どもをよくする手本は子どもの中にすでに在りますので、悪いものを良くするのではなく、子どもの中にすでにある良さを見つけることがポイントです。子どもの作品の中にその良さを見つけられなかったら指導者の負けです。そういう観点から見ていきますとどんな子でも天才があることに気づきます。
 以前、東京学芸大学付属養護学校(当時の名称)のN先生が中高生の生徒を社会科見学に上野の博物館に行ったとき、「ここは余り興味を持たないだろう」と時間を少なく見積もって中に入ったらちょうど歴史的な書道の展覧会をやっていたそうです。しかし、先生方でもなかなか分からないような名筆の前に来ると生徒たちは立ち止まってそこから離れなかったそうです。本物の良さは、IQに関係なく感じられるという事を話して下さったことがありました。どんな人にも内在価値の本物がある、そして未完成から完成に向かっていくのではなく、完成から完成へと創造していくと云うことを生命学園指導者の勉強会で学びました。
 生長の家の教育を通し、神・自然・人間は本来一体の真理を探求し神の子の価値をみつめていきましょう。 2023年6月号

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