202402月号 いのち芽吹く

この寒い中に能登で被災された方々は大変な苦労をなさっていると思います。心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復興をお祈り申し上げます。 生長の家では「令和六年能登半島地震被災者支援募金」を三月三一日まで一般支援と信徒向け支援とに分けて募金活動を行うことになりました。一般は日本赤十字社へ送られ、信徒向けは被災教区の道場等の修繕や被災された聖使命会員の見舞金に当てられます。皆さんの温かい御愛念をよろしくお願い申し上げます。
春季記念日の本部褒賞が決まり、埼玉から東日本光輪賞に佐野テル子氏、小林進氏、布教功労賞に春日幸江氏、茂木則江氏が授賞されます。心よりお祝い申し上げます。
 令和六年の干支は「辰」です。芽吹きの年だそうです。
 昨年十二月の「子供のホンモノを引き出す勉強会」で、自然のスケッチを行いました。分社の境内地の桜の枝を描いているときに、枝の節々に新芽が出ているのを発見しました。いのちの営みは一時も休むことなく生長し続けているのだなあと生命の神秘を感じました。岐阜の担当の時、春になると「薄墨桜」を毎年見に行きました。それは樹齢一五〇〇年以上と云われ、つぼみの時はピンク色、開花すると白色になり、散り際は薄墨になると云われていました。四六七年、第二六代継体天皇が都に上るとき、継体天皇の第二子(宣化天皇)の産屋跡に苗木を植えられたという逸話が残っています。一九五九年の伊勢湾台風で、被害を受けたとき、小説家の宇野千代さんが雑誌「太陽」に薄墨桜の惨状を訴えました。それに動かされた木の専門家が若い根を接ぎ根をして救ってくれ、もうダメだと思われた一五〇〇年の古木に花が咲きました。
 「古事記」の初めに造化三神のムスビの働きの神様が生まれた次に「国稚く浮きし脂の如くして、海月なす漂える時、葦牙の如く萌え騰る物によりて成れる神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遅神」と暗い時に萌え騰る神様がいらっしゃる事が書かれています。どんなに悪いと思われることが起こっても正反対の素晴らしいことがそこから芽吹いてまいります。常に完成から完成へと表現していく世界です。油絵などを描きこんでいくと黒くなってどうしてよいか分からなくなることがあります。そこから正反対の色を使うと失敗したと思ったそこがかえって深みが出てきた作品になります。一番嫌だと毛嫌いしていたものの中に神様のいのちの芽吹くものがあります。

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